広島県政に激震が走っています。
現職の湯崎英彦知事(59)が、今秋に予定されている任期満了に伴う県知事選挙に立候補しない意向を固め、周辺の関係者に伝えたことが明らかになりました。
近く正式に表明する見通しです。

2009年に初当選して以来、4期16年という歴代最長の期間、広島県政のトップとして県を牽引してきた湯崎知事。この突然の決断により、広島県は16年ぶりとなるリーダーの交代を迎えることになります。

なぜ、このタイミングで不出馬を決断したのか?

湯崎知事が立候補を見送った理由として、最も有力視されているのが「多選の弊害」です。

初当選時の選挙戦で、多選に批判的な考えを示していた湯崎知事。
今年5月には、「5期ということになると、やはり長いものではあるので、視点だとか、考え方が硬直化してしまうとか、そういったこともあり得るわけだし」と、
自ら多選の課題について言及していました。長期政権による弊害を意識し、5期目への挑戦を断念したとみられています。

最終的な決断は、お盆期間中に行われたとみられています。

驚きを隠せない県民と関係者

この突然の発表は、広島県民や関係者に大きな衝撃を与えました。

  • 「なぜですか?もったいない」
  • 「できれば長くやってほしい」
  • 「原爆の日の言葉もすごく反響があった」

など、長年の県政運営に対する信頼や、続投を望む声が多数聞かれています。

広島県議会の中本隆志議長も、19日午後に湯崎知事から電話で不出馬の決意を伝えられ、「まさかこの時期に、湯崎知事が不出馬という決断は全く考えていなかった。驚きを隠せない」と率直な心境を明かしました。

今後の広島県知事選はどうなる?🗳️

次の県知事選挙は、10月23日告示、11月9日投開票です。

これまでのところ、立候補を表明した人はおらず、現職の動向に注目が集まっていました。湯崎知事の不出馬表明を受け、今後、各党による候補者擁立の動きが一気に加速するとみられています。

湯崎知事は、後継者について「『意中の人』というのは、本人から何も言われていない」と中本議長に話したとされており、今後の動向が注目されます。

湯崎知事の功績と人物像を振り返る

湯崎知事は、広島市出身で東京大学法学部を卒業後、旧通商産業省(現経済産業省)に入省。スタンフォード大学でMBAを取得し、その後、通信関連ベンチャー企業「アッカ・ネットワークス」を設立し、代表取締役副社長を務めるなど、ビジネスの世界でも活躍しました。

2009年の知事就任以来、その民間企業での経験を活かし、様々な改革や取り組みを進めてきました。

経済・産業 2012年にスタートした「おしい!広島県」という観光プロモーションは大きな話題となり、県の知名度向上に貢献しました。また、起業家としての経験から、イノベーションによる経済活性化を掲げ、スタートアップ支援にも力を入れました。

教育 外部から人材を登用して「教育改革」を推進。2019年には全寮制の県立中高一貫校「広島叡智学園」を開校し、「答えのない課題を見つけ、解決する力を身につける」という新たな教育モデルを導入しました。

平和活動 核兵器廃絶に向けた活動にも熱心に取り組み、2017年にはローマ法王庁を訪問し、ローマ教皇の広島訪問を招請しました。これが実現し、2019年には38年ぶりの来広となりました。2022年のG7広島サミットでは、各国首脳と被爆者の対話の実現を岸田首相に直接働きかけ、平和の問題を深く考えてもらう土台作りに尽力しました。

多様な取り組み 2010年には都道府県知事として初めて育児休暇を取得し、「イクメン」知事として注目を集めました。また、広島市と協力して平和活動を進めるなど、県と市の連携強化にも努めました。さらに、企業全体で男性の家事・育児への参加を促す「男性活躍推進条例」の制定方針も表明しています。

座右の銘は「志と覚悟」。高校時代には体育祭の団長を務め、女子高の文化祭で歌手の吉川晃司に睨まれたというユニークなエピソードも残されています。

長きにわたり広島のトップとして手腕を発揮してきた湯崎知事の決断は、今後の広島の未来に大きな影響を与えることになりそうです。